日露ビジネス、日露の考え方の相違
- 2018/4/8
- 対談
- 日露ビジネス、日露の考え方の相違 はコメントを受け付けていません
浜田和幸- なるほどね。ぜひ我々も期待したいと思っているのですけれども。今おっしゃったように日本とロシアとの間には政治的にも、まだ未解決の領土問題、北方領土という問題があるので、今、政府と政府の間では北方領土の共同経済開発ということをプーチン大統領と安倍首相との間でも交流して、何とか経済での関係を深めることでその出口として、領土問題に対しても解決できるという方向を目指しているわけなのですが。
なかなか現状では北方領土の経済問題開発のプロジェクト、医療であったりエネルギーであったり観光であったり資源開発、いろんなことを言われてはいるのだけれども、現実には進んでなくて、ロシアの極東開発庁の長官なんかも、日本は合意してくれたのに全然日本からの投資が、ビジネスがやって来ないということで相当不満が高まっているということも聞いているのですけれども、コレスニコフさんがご覧になって日本からロシア極東、北方領土だけじゃなくて極東方面、もっともっと日本人が目を向ける、投資をするようになるためには何が必要だと思いますか。
コレスニコフ― まずはロシアに日本のビジネスと日本の資金を呼びつける場合は、私のの個人的な意見なのですけど、日本の企業は、どうしても、なるべく詳細にどういう企業と取引をするかなど、なるべく情報収集を多くするように心がけています。それも本当に初対面の相手に対していろんな質問、どのくらいの実績があるか?どのぐらいの売り上げがあるか?どのような規模でやっているか?など細かくいろいろ聞いてくるのですよね。逆にロシアの場合は、今後、事業を一緒にやるかどうか明確ではない企業が投資家に対して何でこのような情報を公開しなきゃいけないのか?というのが考えにあるのですね。やはりそこまで情報公開メリットが明確ではないから。
ですから、そういうビジネスの基本的な考え方がちょっと違っています。日本側はどうするべきかと言いますと、ロシアでビジネスをやる場合は、なるべく自分がどういう業種でどういうことをやりたいのか?、どういう規模でやりたいのか?を先に明確に決めて、ただただ質問をするだけではなく、自分は何をやりたいかなどを明確に決めて、様々な条件などを考えながら交渉を進めるっていうのが大事です。ロシア側は、逆に本当にいろんな情報公開を行って、それはホームページなりパンフレットなり、なるべく日本の企業に対して多くの情報を提供すれば、日本の企業の信頼を得て事業が展開できると思います。だからそういうところが大事だと思います。
あとは日本の企業は1回ミーティングした後に本当に普通に1、2カ月連絡しないとか、事業するかどうかを判断下さないなど、特に大きな企業はそうなのですよね。ですからロシアのビジネスの考えでは、打ち合わせしたあとに1、2カ月時間が空いてしまうと、じゃあ相手側も興味がないのではないかと勘違いしてしまうのですよね。
ですから、また2カ月たった後に、「2カ月前こういう話だったのですけどその交渉に戻りたいです。」って話になるのです。ロシア側としては自分の考え方を変えたりとかまた情報をあげたりとか色々しなきゃ駄目、そこは大変なのですね。ですから、なるべく判断を下すのもスムーズに色々決めたりとか交渉したりとか、そういうのを身につけば、よりロシアとのビジネスがやりやすくなるってことです。
浜田和幸- なるほどね。それはロシアの人の物の考え方、日本人のビジネスやる人の習慣と少し違いがあるわけですよね。だからその違いを分かった上で乗り越えて共同作業を進展するためにはこの仲介役、ロシアのことも分かって日本のことも分かる人がうまく間に立ってブリッジメイキングをしてくれないと、なかなかうまくいかないっていうことが、当然想像できるのですけれども。
コスレニコフさんの場合には日本でビジネスをやるときに間に立って信頼できる人、そういう人をちゃんと探してその人を通じて、さっきの大手の商社なんかと交渉されているのか、その辺りで、もし、これから他のロシアの人が日本でビジネスを展開したい、日本人がロシアでビジネスを展開したいっていうときに、やっぱりパートナーを探すホームページだとかパンフレットもいいけども、間に立って両方の違いをちゃんと調整してくれる人が必要になってくると思うのですけども。
ボリスさん(*対談時の通訳)みたいな人がいれば良いけれども、そういうような仲介役をやってくれる人っていうのはどうやれば、例えば日本の人がロシアでビジネスをやりたいっていうときに、どういうつてで相手を見つけるときの、見つけた後交渉するときのサポートをしてもらうにはどういうところに相談に行けばいいんですか。
コレスニコフ― 日本の企業が例えばロシアで沿海州の方でビジネスを展開したい場合、沿海州の州政府のほうに連絡すれば、企業の情報などを入手も出来なくはないですが、やはり州政府は大きな企業しか相手にしないので、中小企業はデータベースの対象にならないので、そこはちょっと限られてしまうっていうのはありますね。その他に沿海州の日本とロシアのビジネスのフォーラムとかそういう勉強会なども開催されていますけど、そこもまだ効率よく運営されているというわけではないので、だから、既存の組織では、なかなかどこに行けばいいかっていうのがあまりないのです。
でも、例えば中国の例を見ますと、中国側が興味ある企業があれば、通訳の人を連れてロシアの会社と会って、すぐ条件とか価格とかそういうのを話し合って、前払いをしてビジネスを開始するのですよね。ですから日本のビジネスマンとか企業にこれをちょっと見習うっていうか、何度も何度も会ったりとかして、結果何もできないっていうよりは、本当にもっと積極的に、最初から通訳さんと条件をまとめた上でロシアとの企業や実業家と会って話しすればより多くの事業が成功に結びつけられると思います。
浜田和幸- なるほどね。日本にはロシアの大使館もあれば、経済発展省っていうのかしら、ありますよね。そういうところは日本のビジネスマンの人が中小企業の人が行って、ロシアの沿海州でも極東でもこういうビジネスを展開したいっていうときには情報を提供してくれたり、関係を、ブリッジメイキングをサポートしてくれる大使館とかを、そういう経済窓口がありますよね。
そう、在日ロシア連邦通商代表部。そういうところはどうなのですかね。
コレスニコフ- 通商代表部なども、例えば日本の中小企業がロシアで企業を探していますっていう依頼を流しても、その依頼を複数の企業に簡単に詳細も何も付けないでこういう日本の会社はこういうことをやりたいですよって形でしか情報発信をしてくれないのです。ですから、そこで結び付くっていうのはあまりないので、そこから何かフォローアップされるっていうのはなかなかないです。
ですから、私自身は、日本とのビジネス始めるに当たって、日本で日本人のパートナーとFET JAPAN株式会社を立ち上げて、自分のロシアでの経験を生かし、日本とのパートナーとの繋がりを生かして日本の首都である東京で身近で中小企業の会社のコンサルというかロシアとのマッチメイキングというか、そういうのも行っています。私の会社の規模は小さいかもしれませんけど、こういう様々な経験を生かして日本とロシアの間のビジネスがうまくいくように頑張っています。
浜田和幸- なるほどなるほど。ということはFET JAPANというのは、農業だけではなくて、例えば日本の中小企業の人がロシアでビジネスをやりたいっていうようなときには、コレスニコフさんが相談の窓口にもなってくれる、そういう役割もFET JAPANは担っているという理解で良いのですか。
コレスニコフ― そうですね、私は農業以外にもこのようにコンサルティングの事業もやっていまして、長年中国や日本とビジネスをやってきましたので、その経験を生かして日本の企業の相談に乗ったりとか、ロシアの企業もまたサポートしたりとかいろいろやっています。本当に様々な要望があって、その中でも例えばロシア市場を勉強したいとか、ロシアの市場どうなっているかなどを知りたい企業に対しても、他の関連会社で、ビザの発行から、現地のランドオペレーションとか全てのサービスも提供しています。だから本当に日本企業さんも安心して収集したい情報を集めて、その上でどのようにロシアとビジネスをするかっていうのを決めて事業を進めるというサポートも行っています。