国営テレビ 大河ドラマ『ゾルゲ』が運命を変えた作品
- 2018/5/20
- 対談
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浜田和幸 それで、それもあったけれども、去年、中丸シオンさんと一緒にやったその『ゾルゲ』のモスクワのテレビのシリーズにも出演されて。
山本修夢 そうです。
浜田和幸 僕らも早くそれ日本で見たいなと思っているのですが、こっちの方はどうでしたか。いろんな苦労とか達成感とか。
山本修夢 そうですね、こちらも素晴らしい作品で、今までの俳優人生の中でも本当にかけがえのない希有な作品だと思っています。
浜田和幸 そう。
山本修夢 あの作品に参加できたことで、今後の僕の人生っていうのですかね、多くロシアと関わって俳優活動していきたいと思うようになった、本当に。監督のセルゲイ・ギンズブルグさんっていうロシアでも巨匠の方の、演出ですとか雰囲気の持っていき方ですとか、そういうものに魅了された一人だと思うのですけども。あの作品で、本当に僕はロシアに関わってお芝居をやっていきたいと思うようになりました。
浜田和幸 じゃあ、運命を変えた。
山本修夢 そうだと思います。
浜田和幸 作品ってことだよね。
山本修夢 そうだと思います。
浜田和幸 そうですか。あのとき完成した後、アファナシエフさんのところへご一緒して、その大使も1場面見て、これはぜひ日本の人にもっと見てもらいたい。ロシア人だけじゃなくてね、そうおっしゃっていたし。なんせ大使館の中にある学校の名前が、ゾルゲの名前が、冠ついてる。
山本修夢 驚きました。
浜田和幸 だから、われわれ一般の日本人からすると、ゾルゲっていうのは世紀の大スパイのようなそういうイメージだったけれども、ロシアでは逆に英雄扱いされているのでね。その辺りも、もっと日本の人にもロシアのことも分かってほしいという気持ちになりますよね。
山本修夢 当然なりました。
浜田和幸 でも、『ゾルゲ』の撮影のときには、上海かなんかに・・・。
山本修夢 行きました。
浜田和幸 スタジオ。当時の日本の街並みを上海で再現したっていうことを聞いていますが。
山本修夢
そうです。1940年代の頭のほうの東京のちょっとゴミゴミした下町の辺りとか、銀座の目抜き通りですとかを、上海の影視楽園という本当に想像を絶するような大きな撮影所に再現して撮りました。路面電車が走っているのですよ、セットの中に。
浜田和幸 映画のスタジオの中に?
山本修夢 そうです。
浜田和幸 路面電車が走っているの?
山本修夢 そう、走っているのですよ。それを都電っていう体にして。
浜田和幸 都電を模してね。
山本修夢 そうです。そういう設定で撮ったりですね。あのスタジオの大きさには本当に驚きました。
浜田和幸 そうすると、『ゾルゲ』のテレビの番組のシリーズの中では、山本さんはどういう役回りを演じられたのですか。
山本修夢 僕は、簡単に言いますと、ゾルゲを追い続ける刑事なのですね。
浜田和幸 日本のね。
山本修夢 そうです。特高警察なのです。
浜田和幸 特高警察。
山本修夢
ところが、これペーペーの刑事なもんですから、上から圧力がくるのですよ。ゾルゲみたいな大物をおまえみたいな一刑事が追い詰めたら、俺たちの首が飛ぶから止めろと。あれはドイツ大使館にいるドイツの大物だから、いろんな上と繋がっているから止めなさいって言うのですけど、僕は正義感からかゾルゲを何の手を使ってでも追い続けるわけです。
追い続けて追い続けているうちに、いつの間にか刑事と犯人スパイなのですけど、ゾルゲのあまりにも強い目的への熱に共感というか、時々敬意を持つようになる。と同時に別の場所で出会ったゾルゲの愛人の花子さんに見初めて、一方的に恋をしちゃうのです。
浜田和幸 ゾルゲの恋人に、特高警察演じた山本さんが一方的に「ほの字」になっちゃったわけね。
山本修夢 そうです。だから、ある種三角関係になっちゃってくるわけです。
浜田和幸 そうですか。
山本修夢
そうです。しかし、花子さんはご自分とゾルゲを引き離すために、僕が警察の力を使うと思い「もうあなたみたいな人間は最低よ」とか僕を嫌います。ただ、僕の正義感はどんどん募って行き絶対にゾルゲを捕まえてやるんだと思いは膨らみ話は進んでいくのですけどね。
浜田和幸 そう。それはでも、恐らくほとんどの日本の人も知らないだろうし、ロシアの人もあんまりそういうゾルゲと日本人の花子さん、その花子さんに思いを寄せる日本特高警察、それは史実、本当の話?
山本修夢 これはフィクションみたいです。
浜田和幸 フィクション? そうですか。でも、ゾルゲは花子さんと同棲というか結婚というか、お墓もありますよね? 隣同士にね。
山本修夢 はい。
浜田和幸 だから、ゾルゲと花子さんの関係は史実?
山本修夢 史実。
浜田和幸 史実なのですね。
山本修夢 全くその通りなのだと思います。
浜田和幸 でも、そこに絡まってきた山本さんの役割っていうのは創作・・・。
山本修夢 ファンタジーです。
浜田和幸 ファンタジーね。
山本修夢 あちらの西洋の方がお好きだと思うのですけど、僕が何か失敗したら、上官から「次はおまえ腹切りだぞ」って言われるのですよ。で、僕3回ぐらい失敗したときに、とうとうこういう羽織みたいなの着て、本当に腹切る直前までいくのですよ。それで、グッと刀に力を入れたときに、ハッと遺影の仏壇のほう見たら、自分の父親の顔が見えるのですね。で、その父親がなぜか武士なのですけれど(笑)
武士の父親と、僕は目が合って、その父親のナレーションが聞こえて来るのですね「おまえの敵が死なないうちは、おまえはまだ死んではいけない」って。僕はそれでフッとなって、「そうだ、俺はまだ死んではいけない。まだやるべきことが残っている」って言って、もう一度ゾルゲに向かうっていうシーン。実際にゾルゲでは本当にハラキリシーンは撮影しました。未遂でしたが。
浜田和幸 でも、それはもう、ぜひ早く日本でも見られるようにね。今その『ゾルゲ』のテレビは、モスクワではこれから放送されるのですよね?
山本修夢 はい。でも日本みたいに、間もなく放映とかそういうのが全くなくて、ある日突然始まるっていう。
浜田和幸 前宣なんかないわけね。
山本修夢 ないですね。それで、始まった瞬間にインターネットでバーッと乗り続けるので、多くの人がインターネットで。ロシアの街角でスマホとかタブレットとかで見ているのは、みんなドラマを見ているのですよね。だから、そういう状態ですから、ちょっと日本と感覚は違うようなのです。
浜田和幸 そうですか。でも、いずれにしても5月だったら、もうじき。
山本修夢 そうですね、はい。
浜田和幸 そうです。それはどういう反響がロシアで巻き起こるのか、大いに楽しみですよね。
山本修夢 そうですよね。