ロシアのもので日本で売れる可能性は?日露ビジネスの課題は?
- 2018/4/8
- 対談
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浜田和幸- それでコレスニコフさんは日本とロシア行ったり来たりされていて、逆に日本人にとってロシアの、大豆とかそばっていうのは、なかなか直接は分からないけれども。目に見える物で、例えば、ロシアの物でこんな日本人におすすめの商品、おいしいロシアの食材だとか、
あるいはロシアの作ってる物で日本人にすごく受けそうだ、こんな物日本に無いけど、ロシアではこんな物を作っていてこういうすごい物がありますよっていうようなおすすめの、メイドインロシアの、日本の人の心を揺さぶるような、そういう物はどんな物が。例えば日本の親しい人にこれがロシアのお土産ですよっていうようなことを渡すときにおすすめのロシア製の商品、お土産というのはどういう物が、ぱっと思い浮かびますか。
コレスニコフ― まず言いたいのは、私はやっぱり農業に関わっているので、ロシアはジャガイモを非常に大量に栽培していますので、大きさも大きいので、味も非常においしいので、それを日本向けに持ってきたら日本国内でも工場なりスーパーなり、かなり人気が出ると思います。あとはやっぱりロシアは自然が非常に豊かで、さまざまな植物が採れたりとか、蜂蜜もそうですし、様々の薬草とかベリーとか果物がいろいろ採れます。そういうのもあってロシアでは自然食品みたいな感じの物がたくさんあります。
浜田和幸- オーガニックですね。
コレスニコフ― そう、オーガニックの様々な認証なども次々と導入されています。ロシアの自然が生んだもの、オーガニックで体に良い物を日本に持って来れば、まだ日本ではあまり知られていないと思うので、それが日本の皆さんに喜ばれると思います。
やっぱりロシアは広くてさまざまな地域がありますので、各地域で採れる物もまた全く違っていますので、本当に産地によってものが違う、味が違うということで、日本でロシアのさまざまな産地のものを取り扱うお店とかそういうのを作ればそれはまたかなり人気が出ると思います。
浜田和幸- なるほどなるほどね。そういうようなお店はまだ日本にはないのですね。ロシアのいろんな地方のものを扱うっていう。
コレスニコフ― そうですね、まだないですね。それはまたロシアって地域によっても水も違いますし、全て違う、土も違いますし。そこで例えば沿海州では松の実がいっぱい採れる。ヤクーツク? バイカル湖の近くでは、バイカル湖にしかいない魚の薫製が有名だとか、そういう各地域の名物とかがあるので、それをまた日本で紹介して販売すれば面白いのではないかと。中国の話に戻りますけど、中国ではそういうプラットフォームというか、そういうお店は既に展開しています。
浜田和幸- 中国ではいろんなロシアの地方の特産品を集めて売っている、ようなそういう店があるわけですね。
コレスニコフ― 中国のロシアの特産品を扱っているお店なのですけど、ロシアと中国の国境の近くにあります。ロシアの特産品を作っているメーカーさんであれば、少量であれば通関を切らないでそのままそこに置くことが出来ます。
浜田和幸- 自由に貿易できる。
コレスニコフ― そう。少量であれば、そこで展示して紹介したり出来ます。契約を結んで量が増えたときになってから、関税を払ったりとか通関切ったりとかするというルールが導入されています。やはりロシアと中国の間では。
浜田和幸- 陸続きだからね。
コレスニコフ― そうですね、やはり国境が繋がっているので、様々な、より貿易を簡単にするルールとかそういうのが定められています。ロシアと日本の間ではそういう決まり、法律とかルールが一つもないので。 それもビジネスの展開を妨げるというか、それが改善すればよりビジネスが展開しやすくなると思います。
浜田和幸- なるほどね、そうだね。でもそうするとやっぱり元々コレスニコフさんは中国との間で農業の貿易というかやっておられたのだけれども。やっぱり日本と比べて中国ははるかに人口も大きいからマーケットとしても大きいわけですよね。しかも陸続きだから物流っていうのも簡単ですよね。
また中国は中間層というか富裕層がどんどん増えているから、ロシアのいろんな地方の特産品を扱う店が出てきてもきっと中国のお客さんがたくさん行っていると思うのですけれども。そういうロシアにとって中国の大きなマーケットと、日本はどんどん人口も減り始めてマーケットが小さくなりつつある。
しかもロシアとは海で離れていることもあって、いろんな意味ではロシアにとっては中国のほうが大きなマーケットとしても、国としてもロシアと中国政府間同士の、プーチン大統領と習近平主席もとっても仲が良い、日本の安倍首相もプーチン大統領とは20回以上首脳会談をやっていますが、なかなかまだ信頼というところは行っていないので、ロシアから見るとやっぱり中国の存在がとっても大きい。
だからロシアと中国の貿易の手続き、さっきも国境の、少量であれば全然通関もなくて物の、人の行き来ができるとなると、これはなかなか日本にとっては中国とライバル、よっぽどコレスニコフさんみたいな日本のことを大事に思っていいところを分かってくれる人が間に立ってくれないと、ロシアの方の人たち、みんな中国のほうに引っ張られていくっていうのが、流れとしてはこれからも加速しそうな感じがするのですけれども。そういう点はいかがですか。
コレスニコフ― やはり中国は貿易に関するさまざまな法律を次々と導入したりとか、ビザの面でも行き来が自由にできるようにしたりとか。やっぱり陸で繋がっていますので、なるべくお互いウィンウィンの関係を築くために今も、中国の政府もロシアの政府もいろいろ動いています。あとは中国に行って気が付いたのは、ロシア語の専門学校が非常に多いです。ロシアの場合、英語は使えない人かなりいます。
浜田和幸- ロシア人は英語をあまり話せない。
コレスニコフ― 日本もそうですね、そうです。そこでどうしてもロシアでビジネスをやるとするとロシア語があったほうが有利になりますので。日本は東京にロシア専門学校とかそういうのって非常に少ない、あるかどうかも分からないぐらいの状況ですよね。
浜田和幸- 確かにね。
コレスニコフ― ですので、まずは東京でそういうロシア専門学校を、それもちゃんと宣伝して、ビジネスに役立ちますよという感じで宣伝すれば人気も出てきますし、多くの需要が生まれると思います。われわれFET JAPAN、U.D.Cとしては小規模でもどんどんいろんなビジネスのサポートを行って、それで情報を発信してなるべく両国のビジネスの発展に役立てればと思います。
浜田和幸- そうですか。かなりお話を聞くことができたので、これを通じてまた日本のいろんな人たちがロシアとの関係を強化したり、困ったことがあったらコレスニコフさんのこのFET JAPANにアクセスすればいろいろとアドバイスをいただけるということも分かりましたので。
ぜひコレスニコフさんにはロシアと日本の架け橋になって、われわれ、食べるもの、食なしには生きていけないわけですから、今プーチン大統領もロシアの極東方面、人口少ないから農業をやる人には無償で土地を提供して農業と産業を支援する、ということを一生懸命行っておられるというふうに聞いてます。
日本にとっても食料の供給先を多角化するという意味ではさっきのジャガイモすごく魅力的でもありますんで、多様なオーガニックの食材というものも日本の消費者に安定的に供給してもらえる、そういう流れがこれから広がっていけばいろんな政治的な課題にも乗り越えていくことになると思いますので。
ぜひコレスニコフさんにはこれからも日本に関心を持って日本人の胃袋、懐を豊かにするようにご尽力をいただきたいと思います。きょうはいろいろと、お越しいただき感謝したいと思います。ありがとう。
コレスニコフ― ありがとうございます。
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事務局から
浜田和幸の日露対談、スタートは経済から。
浜田和幸さんとロシアで日本向け農場経営と通関サポートを行うコレスニコフさんとの対談を行っていただきました。
日露ビジネスサポートのための既存の組織は主に大企業向け、中小企業の実際の業務のサポートに対してはあまり有効的ではない中で、コレスニコフさんは日露に窓口を設けてスモールビジネスのサポートを効果的に行っているとの貴重な情報がわかりました。
また、日本人に欠けている点は『スピード』とのご指摘がありました。この点はコレスニコフさんに限らず、日本とのビジネスをしようと相談を受けるロシア人から多く聞かれる声です。日露ビジネスを成功させるキーワードが『スピード』と言えそうです。