2) サンクトペテルブルグで日本語を学ぶ人達とは?
- 2018/6/15
- 対談
- 2) サンクトペテルブルグで日本語を学ぶ人達とは? はコメントを受け付けていません
浜田和幸 それって、小川さんの所で日本語を学びたいって連絡を取ってくる人たちは、大体、どういうような年齢層、どういうような職業、どういう地域、大体、どういった人たちが、生徒さんの典型的な?
小川勝也 典型的な? そうですね。典型的というと、職業は、もちろん、ばらばらなんですけど、アニメから入って日本が好きで、アニメを字幕なしで日本語を理解してみたいとかっていう、入り口が、そんな感じなのですね。なので、他の英語であるとか実用的な言語とは、日本語の立ち位置はちょっと異なって、若干、モチベーションが弱いっていう感じなのですよ。
浜田和幸 でも、オタク文化というか、日本のアニメが大好きで、それをぜひ、ロシア語とか、そういう翻訳とか通訳を入れないで、生の日本語で日本のアニメを楽しみたいと。
小川勝也 そうですね。アニメ自体は、ロシアの子どもたちは、ほぼ全員、見ているっていって良いくらい広まっているのですね。
いろんなアニメがあって、そこからさらに、もう一歩いって、日本語の勉強までしたいというふうな人になると、限られてくるのですけど、その決断をした人たちでも、2カ月、3カ月やってみて、どうなのかなっていう。やっぱり駄目だ、みたいな子たちも、結構、いるのですよ。
浜田和幸 なるほどね。その生徒さんたちのお話を聞かれて、アニメといっても、たくさんの種類があると思うのですけども、今、ロシアで一番人気の日本のアニメって、どういう作品が人気あるのですかね。
小川勝也 1年前になりますけど、『ユーリ!!! on ICE』とか、ご存じですか。
浜田和幸 『ユーリ!!! on ICE』?
小川勝也 はい。フィギュアスケートの。
浜田和幸 フィギュアスケート?
小川勝也 ボーイズラブ的なものが入ったアニメとか、『進撃の巨人』とかですかね。
浜田和幸 『進撃の巨人』ね。これは有名ですね。
小川勝也 日本で評判になるようなものとかっていうのも、すぐ、1日、2日で、翻訳、吹き替えまでやって、海賊版ですね。
浜田和幸 海賊版がすぐにネットで見られるわけだ。
小川勝也 はい。無料で流れて。それぐらい日本在住のロシア人とか、日本語の分かるロシア人が、そういったものを翻訳して、自分で。ボランティアで翻訳して、それも一生懸命上げて。それを向こうにいる普通のロシア人が見ているみたいな、そういった行動があるのですよね。
浜田和幸 ということは、生徒さんというのは、割と年齢層が若い人たちが主流になるのですかね。
小川勝也 そうですかね。アニメ見ているだけじゃなくて、他の部分の日本も知っていって、それでも、日本っていうのが、自分の心にピッタリくるっていう人が、20代ぐらいだと、結構、多いので、どうしても日本以外に私に最適な国は見当たらないとかっていうことまで言って勉強に来たりもするのですよね。
浜田和幸 男の子、女の子っていうのは、大体、同じぐらいで?
小川勝也 そうですね。全体の数が、女性の数が、多分、多いですよね、人口的に。
浜田和幸 ロシア全体で? それとも、サンクトが特に?
小川勝也 どうなのですかね。ロシア全体じゃないですかね。
浜田和幸 中国と逆だね。
小川勝也 そうですか。
浜田和幸 中国は一人っ子でずっと政策をやっていたから、跡継ぎっていう男を欲しがる家庭が多くて、女の子はどうしても。だから、男女の比率は、男のほうが圧倒的に多いのですよ、中国は。
小川勝也 多いのですか。なるほど。
浜田和幸 ロシアは逆?
小川勝也 逆だと思いますね。結構、女の子のほうが多いと思います。
浜田和幸 そうですか。女の子たち、でも、『進撃の巨人』とか、割とハードな感じだから、男の子のほうが多いと思いましたが。でも、関係ない?
小川勝也 そうですね。
浜田和幸 ロシアの女の子は、そういうのが。
小川勝也 多分、個々人、それぞれ別の、自分が好きなのがあると思うのですけど。自分の好きな作品とかは。
浜田和幸 でも、どうですか。ロシアの若い人たちに日本語を教えられて。例えば、教科書だとか、そういうのはどうやって準備されているのですか。やっぱりアニメを教材に使ったりするのですか。
小川勝也 いや、そういうことはないですね。というのは、アニメの日本語っていうのは、かなり高度な部類に入るので。会話体なので、文法的に正しい日本語の教材としてはなかなか適さないのですね。なので、僕の場合は、『学ぼう!日本語』という教科書がありまして。 一番初級のレベルから最上級のレベルまで、全てそろっているので、僕は、それを使うことにしているんです。
浜田和幸 『学ぼう!日本語』っていうのは、ロシアの人を想定した日本語のテキストなの?
小川勝也 ではないですね。日本で使う日本語の教科書っていうことだと思うのですけど、全て日本語で書かれているんですよ。
なので、それを、僕はロシア語を媒介にして教えるという感じなのですけども。