5) ロシアの住んでいて実際に感じるロシア人の日本に対する関心は?
- 2018/6/14
- 対談
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浜田和幸 そうですか。例えば先月、5月に、サンクトペテルブルクの経済フォーラムっていうのがあって、安倍総理もそこに行かれて、その後、モスクワでプーチン大統領とも会って、秋田犬、マサル君っていうのね。
フィギュアスケートの、プレゼントして、日本では大きく報道されたのですが、サンクトにおられて、日本から総理が来られて、そういう経済フォーラム、日本とロシアとの関係だけじゃないけれども、そういうことにフォーカスした大きなイベントがあったりすると、サンクトの人たち、アニメを通じて日本に関心を持っている人たちを、たくさん生徒さんとして抱えておられるでしょうけど、一般のサンクトの人たちっていうのは、日本に対する関心っていうのは、どれぐらいあるのですかね。
小川勝也 難しいですね。やっぱりちょっと、日本のイメージがアニメみたいなものから、サブカルですよね。
浜田和幸 日本、イコール、アニメになっちゃうか。
小川勝也 サブカルみたいなところでつながっているので、そういうものに極端にのめり込んでる、っていう人たちっていうのは、特別視されているかな。日本でもオタクみたいなことを言われているように、ちょっと変わった感じになっていますよね。子どものとき、アニメを見るのはもちろんですけど、大人になっても見るってのはちょっとね、みたいなところはあると思いますね。ですので基本的に、日本ってよく分からないっていうところだと思うのですね、一般的なところを言えば。
浜田和幸 一般的にはね。日本から安倍総理がわざわざ来ても、あまり皆さんの関心には。
小川勝也 そうですね。
浜田和幸 レーダーには引っかかってこない。
小川勝也 一般の方は、なかなか難しいかなっていう。
浜田和幸 今年は、2018年は、ロシアにおける日本年。
小川勝也 そうですね。
浜田和幸 日本におけるロシア年ということなので、いろんな文化交流、芸術交流も、観光も含めて、両国政府は盛り上げようっていうので、いろんな企画をしているのですが、サンクトペテルブルク、いろんな文化遺産たくさんある。その中で、日本年に関するものは、何かあります?
小川勝也 そうですね。もちろん、サンクトペテルブルクの領事館が主導して、いろんなお祭り。春祭りとか、桜祭りっていいましたね、名前が。
浜田和幸 桜祭りね。
小川勝也 そういったものを、植物園で開いたりして、そういうところで着物を体験、試着コーナーとか、ロシア人がやっているのですけど、たこ焼きのお店とかもあるのですよね。
浜田和幸 たこ焼きのお店があるの?
小川勝也 たこ焼きのお店の人は、出張で販売をやったりとか。あとは、折り紙講習であったりとか。生け花。あと、書道ですね。
そういったものも体験できるみたいな。結構、そういったイベントっていうのは、半年に1回は必ずあって、多分、今年は、先ほどおっしゃられましたように。
浜田和幸 ロシアにとっての日本年だからね。
小川勝也 日本年ですよね。なので、他にもイベントとかって、しょっちゅうあると思うのですよね。
浜田和幸 なるほどね。例えば、サンクトペテルブルクの小学校とか中学校とか、地方のっていうか、民間の国際交流に関心があるようないろんな団体だとか、親善。国際交流の、いろいろなのがあるじゃないですか。そういうところで小川さんが、日本のことを、言葉だけじゃなくて、日本の文化とか、そういうものを紹介したり、話を頼まれて出掛けるとか、そういうようなことはあるのですか。
小川勝也 そうですね。特にイベントのときにということではないのですが、僕自身が、今まで3回なのですけど、日本の文化に関係する、日本のテーマで、公演を独自で開いたっていうことはあったりとかして。僕の友達に、村上春樹の翻訳とかをやっているような、翻訳家の方がいまして。
浜田和幸 それ日本人? ロシア人?
小川勝也 ロシア人で。その人に通訳をしてもらって、僕は日本語で話すっていう形で、今まで、漢字の話とか、禅の話ですね。
浜田和幸 禅ね。
小川勝也 あとは、能楽。
浜田和幸 能楽も。
小川勝也 能の話というテーマで図書館を借りて、人を集めて講義するっていったことは、やったことあるのですね。
浜田和幸 なるほどね。小川さんのホームページ見ると、能のことなんかを研究されているっていうか、そういうことをお話されているって書いてあったけど、日本でいたときに、そういうことをやっておられたのですか。
小川勝也 そうですね。僕自身、海外に初めて出たのは、25歳のときに、メキシコに3年いたのですね。そのときに、メキシコから帰ってきて、自分が日本のことを、あまりにも知らな過ぎるということで、どういうところに注目して、どういうものに打ち込んだら、日本の心みたいな、本質的な部分の日本っていうのを捉えられるかなと思ったときに
能っていうものが浮かび上がってきまして、そのときに、世阿弥の著作であるとか、能を見に行くっていうことを通して、日本の核心の部分。日本の核にある部分。日本人の心の奥にある部分っていうのは、どういうものかっていうのが分かるのじゃないかっていうことで、やってみたところ、結構、面白いなと。
浜田和幸 なるほどね。
小川勝也 能が面白いっていうことで、好きになりまして、個人的に10年間ぐらい、こっちにいる間、ずっと見て。
浜田和幸 能楽堂に行かれて。
小川勝也 能楽堂に行って。そうですね。読んだりとかで。そういうところから、例えば、平家物語、源氏物語とかっていったものに対する関心も高まってきまして。
浜田和幸 それは、ロシアの人も、そういうことには、関心を寄せてくれている人たちが、一定数、いるわけですね。
小川勝也 そうですね。
浜田和幸 日本の文化を理解する。日本の心を理解する。それを、小川さんが、能というものを通じて、うまく説明っていうか、理解を深めるお手伝いをされているわけですね。
小川勝也 そうですね。興味あるのかもなっていうことで、やってみたところ、結構、人が来てくれたみたいな、そういう感じですかね。
浜田和幸 図書館を借りて、そういうことをやっておられたっていうことは、ロシアって、そういう公共の、図書館なんか、いろんな活動に自由に使わせてくれるっていうことがあるのですか。
小川勝也 そうですね。比較的に、そういった会議室みたいなところがありまして、図書館に勤務している、そういった日本に関心のある方とかが協力してくれて、うちの図書館、使ってくださいみたいな感じで言ってくれることが、結構、多いですね。
浜田和幸 そうですか。
小川勝也 日本語の勉強、ペテルブルクの大学とか、日本語学科があるので。
浜田和幸 日本語学科。
小川勝也 そういった所を出たけども、日本には、特に仕事が、そもそもないので、日本に関係する仕事には就いてないのだけども、日本語は勉強したし、日本に対する関心を持っているって方が、結構、いろんな所に、ちらほらいるのですね。
そういった方々が、お手伝いしてくださるっていう。いろんな所で。