4) 中丸シオンの公私ともに変わった「ゾルゲ」という作品との出会い

  • 2018/7/9
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浜田和幸 これまでいろんな役を演じてこられて、一番心が動いたというのか、本当に芸術というか舞台、これから本格的に取り組もうって、そういう自分自身をインスパイアするような、そういう作品との出会い。

 

中丸シオン そうですね。やはり、去年やらせていただいた、『ゾルゲ』です。

 

浜田和幸 『ゾルゲ』ね。

 

中丸シオン はい。経験させていただいて、本当に公私ともに何か変わったように思います。

 

浜田和幸 なるほどね。ゾルゲといえば、ロシア、旧ソビエトのですね。日本との開戦に向けて、日本が、要するにソ連のほうを攻めるのか、南のほうを攻めるのか、日本がどういう方向に行くのかっていうことを探る、大変重大な使命を帯びて日本に行ったわけですけれども。昨年、そういう映画っていうか、テレビのシリーズですよね?

 

中丸シオン そうですね。

 

浜田和幸 それの撮影に、随分、時間をかけられて、当時の東京の舞台っていうのは、確か、上海の郊外のほうにそういう舞台ができていて、そこで当時の雰囲気を再現して、モスクワでも・・・。

 

中丸シオン はい、セットを作って。

 

浜田和幸 撮影をされたりして、どれくらいの期間をかけて撮影は。

 

中丸シオン そうですね。

 

浜田和幸 半年ぐらい?

 

中丸シオン 7ヶ月間くらいでしたか。私の場合は、そのぐらいだったのですけど。

『ゾルゲ』のきっかけは、私が20代のときに、ショートフィルムのお誘いをいただいて、その監督をされたのが木下順介さんでした。

 

浜田和幸 今、モスクワで活躍されている。木下監督。

 

中丸シオン はい。木下監督がまだ日本にいらっしゃる頃のお話です。『マスカケ線』という映画で、それがきっかけで、木下さんとは親しくさせていただいていたのですが、あるとき、ロシアに監督の勉強をしに行きます、と言って行かれて、そして数年したら、ロシアで、俳優としても声が掛かるようになったのだと、メールをいただいて。

浜田和幸 木下さん自身が俳優にも挑戦されることになったのですね。

 

中丸シオン はい。それで、2014年なのですけど、『オールデン』というロシアのテレビドラマで、これは、今、日本では『ラスト・サマーウォーズ』っていうタイトルに変わって日本でも見られるようになったのですけど。その作品に、日本人の役が必要だということで、木下さんからお声をかけていただき、オーディションを受けさせてもらって、行くことになったのです。そのとき既に『ゾルゲ』というプロジェクトがあるのだよと聞いていました。

 

浜田和幸 なるほど。

 

中丸シオン なので、もしオーディション受けられたら、ぜひ受けさせてください、とビデオテープを。

 

浜田和幸 そうですか。

 

中丸シオン と思ったら、経済危機、ウクライナとの紛争があり、ちょうど、あのときに重なってしまい、プロジェクトが中止なっちゃって。それから2年後に、突然、木下さんから、あの『ゾルゲ』がすぐにも始まりそうだと連絡が入り。

 

浜田和幸 始まったと。

 

中丸シオン はい。突然。

 

 

浜田和幸 そう。

 

中丸シオン それからまた始まっていったっていう感じでした。

 

浜田和幸 そうですか。それで、『スパイ・ゾルゲ』なんですけれども、なぜ、シオンさんに役が回ってきたかというと、そのゾルゲという人物の愛人というか。

 

中丸シオン 恋人というか。

 

浜田和幸 相手の女性、花子さんの役ということで、シオンさんにお声が掛かった。そういうわけですよね?

 

中丸シオン そうですね。木下さんは、シオンちゃんにピッタリだと。花子さんは、激しい方なのです。

 

浜田和幸 性格が?

 

中丸シオン 性格が。これ、石井花子さんが書いた本なのですよ。

浜田和幸 『人間ゾルゲ』。石井花子?

 

中丸シオン はい。これを私、台本よりもこっちを読んで。

 

浜田和幸 最初にこれを読まれた?

 

中丸シオン 撮影中もずっと。お守りのように。

 

浜田和幸 すごいね。随分、線が引いて。

 

中丸シオン これを読んでいて分かったのですけど、花子さん、いのしし年なのですね。

 

浜田和幸 生まれがいのしし年?

 

中丸シオン はい。私もそうなのですが。

 

浜田和幸 同じ?

 

中丸シオン やっぱり猪突猛進で、激しくて、こうだと思ったら、誰の言うことも聞かないような。

 

 

浜田和幸 そうですか。

 

中丸シオン そうなのです。

 

浜田和幸 これ、また奇跡の出会いといえるでしょうね。そうですか。そのオーディションというのは、写真かなんかを、要するにカメラリハーサルみたいな、そういうの、よくあるじゃないですか。

 

中丸シオン はい。ありました。

 

浜田和幸 モスクワからお声が掛かって、木下監督から。その前、映画の出会いがあったから、木下監督の中のイメージとすれば。

 

中丸シオン まず、『ゾルゲ』の監督、セルゲイ・ギンズブルグ監督は、最初、花子さんの役を中国の俳優さんでオーディションをされたそうで。

 

浜田和幸 花子さんを中国人の役者にやらせようと思った?

 

中丸シオン でも、かなりオーディションをしたけれど、監督は決められず、やはり日本人がいいとなったそうで、それからビデオオーディションでした。

 

浜田和幸 ビデオオーディション?

 

中丸シオン iPhoneで撮影して日本から送りました。

 

浜田和幸 そうでしたか。

中丸シオン それから始まりました。

 

浜田和幸 そうですか。でも、やっぱり7カ月、8カ月にわたる長期の撮影で、当時の東京、日本の雰囲気を出すために、上海のスタジオ、その辺りどうですか。日本人からすると、これが日本かというような違和感はなかったですか。この上海にできた、東京の町っていうのは。

 

中丸シオン それは、正直、ありました。細かくいえば、例えば食事。ゾルゲに朝ごはんを出すシーンがあって、小道具さんが、インド料理みたいなのを持ってきたのです。「日本人、朝ご飯でこういうのは食べません」って言って、でも、間に合わないのですよね。

 

浜田和幸 間に合わない?

 

中丸シオン 本番前では言ってももう時間がなくて変えられないのです。あとは、お着物ですとか。やはりお衣装さんも正確には分からないのです。お着物の着方や、あと歩き方など。

 

浜田和幸 歩き方。そうね。

 

中丸シオン よれよれになっちゃったり。できる限り伝えたつもりなのですけど。やっぱり、エキストラさんはたくさんいらっしゃるし、お衣装さんも手が回らないしっていうことはありましたね。これは、すごく後悔しています。

 

浜田和幸 そうだよね。まだ、日本では放映されていないので。

 

中丸シオン はい。まだ決まっていません。

浜田和幸 どういうシーンがつくられているのか、とても興味深いのですが。あれは6月ぐらいに、モスクワというかロシアでは、国営放送、チャンネルワンかなんかで放送が始まるのじゃないかと、ちらっと聞いているのですが。

 

中丸シオン そうなのですか。

 

浜田和幸 聞いてない?

 

中丸シオン 私は、今日たまたま『ゾルゲ』でご一緒しました山本修夢さんからご連絡をいただきだき、松山で『ソローキンの見た桜』を撮影されているのですが。

 

浜田和幸 話された?

 

中丸シオン そうなのです。

 

浜田和幸 何て言っていた?

 

中丸シオン 10月に公開だと。

 

浜田和幸 秋に延びたのだね。

 

中丸シオン 延びたのですかね。

 

浜田和幸 そうですか。

 

中丸シオン 今、修夢さんは、『ゾルゲ』の主役のアレクサンドル・ドモガロフさんとご一緒に松山で撮影されています。

 

浜田和幸 そうですか。いずれにしても、10月からはロシアでシリーズ。あれは10回とか20回とか、かなり長いのでしょ?

 

中丸シオン 12回です。

 

浜田和幸 12回で放送がされるわけですね。それは、ぜひ大いに期待したいですし、また、ロシアで放送が始まって、今年が日本におけるロシア年。

 

中丸シオン そうですね。

 

浜田和幸 ロシアにおける日本年ということもあるので、ぜひ、早い段階で日本でも、この『ゾルゲ』のテレビドラマが見られるようにね。前回、ご一緒に、当時の駐日ロシア大使のアファナシエフさんにお会いいただいて。

 

中丸シオン ありがとうございました。

 

浜田和幸 彼も、ぜひ応援したいと言ってくれていましたし、今の新しいガルージン大使も、3月に来られたばかりで。

 

中丸シオン 3月から?

 

浜田和幸 うん。だから、前の大使と比べると、日本語がすごいよくできる。

 

中丸シオン それはすごいですね。

浜田和幸 ガルージンさんね。今回、日本が3度目の大使館勤務ということになるので、ロシアの外務省の中でも、かなり日本語、日本文化に対しては造詣が深い方です。また機会を見て、ご一緒できるようにしたいと思いますが、とにかく、そういう映画というかテレビドラマ、これは、ぜひ多くの日本の人にも、ロシアの人にも見ていただきたい。

 

その中で、準主役ですよね? ゾルゲの恋人だから。どうですか。実際、7、8カ月演じられて、一番訴えたい部分っていうか、ロシアの人にも、日本の人にもアピールしたいという点は、どういう所が『ゾルゲ』で見ていただきたい、受けとめてもらいたいっていう感じ、お持ちですか。

 

中丸シオン そうですね。何から話そう。まず、戦争ということを知ったのは、小学生の道徳の時間で、『はだしのゲン』。

 

浜田和幸 『はだしのゲン』。広島のね。原爆の、ピカドンのね。

 

中丸シオン あのアニメを見て、戦争というものがあったのだと知って、かなりの衝撃を受けました。そのときの感情って今でも忘れられないのですけど、どうしてこんなちっちゃい子どもが、こんな目に遭わなきゃいけないのか。

 

どうしてこんな酷いやり方で戦い合うのか。なんで。どうして。本当に悔しくて、悲しくて、恐ろしくて。その悔しさっていうのはどうしたらいいのだろうって思っていました。それで、この仕事を始めてから、私の一つの夢として、戦争時代に生きた人を演じたいという夢があったのです。

 

日本でも、『ゾルゲ』をやる前にも、第二次世界大戦のお話しを演じる機会が訪れたのですが、やはりとてもつらかったです。『ゾルゲ』もそうだったのですけど。

で、何が言いたいかと言うと。

 

浜田和幸 テレビドラマの、一番訴えたいっていう、日本の人にね。

 

中丸シオン あ、はい。あと、撮影中に、すごく印象深いことがあって、『ゾルゲ』の上海ロケの時にみんなでご飯に行った時、セルゲイ監督が「中国人、日本人、ロシア人が、今、一つのテーブルを囲んでいれることに乾杯しましょう」って言ったのが、すごく感動しまして。

浜田和幸 なるほど。そうね。

 

中丸シオン この映画の中では悲しいことがいっぱいあったけど、今現在は、こうして一つの作品を通してみんなが幸せにいれること。つまり。話は飛びましたが、二度と、戦争なんてしてはならない。ということです。

 

浜田和幸 そうですね。おっしゃるとおりですね。

 

中丸シオン それが、お伝えしたいことです。

 

浜田和幸 なるほどね。上海で撮影された以外、モスクワでもね。

 

中丸シオン はい。行きました。

 

浜田和幸 それ以前に行かれたことはありました? 初めて?

 

中丸シオン 2回目です。

 

浜田和幸 2回?

 

中丸シオン その『ラスト・サマーウォーズ』というドラマで。

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